2009年08月30日

地歌舞伎見物その1

岐阜県の美濃地方の東部「東濃地方」は、昔から素人芝居の
「地歌舞伎」が盛んな地域です。
各村ごとに(集落ごとに)神社などに屋外の舞台があって、祭
の時などに村人が役者になって演じる庶民の娯楽として続いて
きました。
今は祭で演じられることはほとんど無くなってしまったのですが
各地域に保存会があって、年に何度か公演をしています。

我が家から車で15分ほどのところに、とても古い芝居小屋を
移築して保存し、そこで夏になると1日だけ公演をしているのは
知っていましたが、今までなかなか行く機会がありませんでした。
誰も一緒に行ってくれないし(^^;)

歌舞伎も名古屋の御園座でなら観たことがあるのですが(これも
一人で)、地歌舞伎、芝居小屋はいつか行きたいと思っていま
したが、誰もお供してくれないんですよね~。。
でも、今年は思い切って行ってみることにしました。やっぱり
一人なんですけどね。


img_10970002.jpg
美濃歌舞伎博物館「相生座」。
詳しくはこちら→「相生座HP」
左側の建物は資料館で、奥の正面の建物が相生座です。
建物の全景を撮るなら裏側から撮るしかないのですが、この
芝居小屋、なんとゴルフコースの中にあって、裏側はゴルフ
コースの美しい芝生のため、立ち入ることができません。
建物にはネットが張られていましたが、時々ボールが飛び込む
らしく、壁にゴルフボール大の穴があいていました。

なぜゴルフ場にあるかというと、これを残して保存したのは
ここのゴルフ場だからです。
市営や町営ではないのがすごいところです。
そしてもっとすごいことに、演じる役者さんもこのゴルフ場の
社員さんがほとんどで、そのほかに保存会の役者さんや子供
歌舞伎の子達が演じます。
このゴルフ場に入社すると仕事と歌舞伎がセットでついてくる
らしいです(笑)

今日の公演は無料。相生座はクーラーもないので、ゴルフ場が
営業を終わって涼しくなる5時からの開演です。
全国的に有名な四国の「金丸座」のような案内のお茶子さんは
いませんので、席は自由に座れます。
4時半ごろ行きましたがまだ空きがありました。


img_11040008.jpg
初めての本物の芝居小屋です。すごい~。タイムスリップ。
舞台も込みで小学校の体育館の半分くらいの広さでしょうか。
劇場としては、現代のものと比べたらとても狭く感じます。
太い梁に、2階席には欄干のような朱塗りの手すり。
花道は下手と上手の2つもあります。
私は2階席に陣取りました。
一階の前のほうの席は「おひねり」を投げる人用かな~、と思って。
特に席の指定はないので、自由席で移動も自由です。


img_11020006.jpg
これは、向こう正面の2階席です。右方向が舞台です。
明かり取りの窓が開いているので明るいですね。
一番前の列に黒い羽織姿の男性が扇子を持って写っている
のですが、歌舞伎役者の市川笑三郎さんだそうです。
こちらの出身で、子供の頃この相生座で子供歌舞伎に
触れたことで、歌舞伎役者を目指されたそうです。
暑い中、着物姿でシュッと座っている姿はさすがプロの
役者さんだと思いました。


img_11190012.jpg

最初の外題「菅原伝授手習鑑」。
松王丸・梅王丸・桜丸の若い兄弟が立ち回りを演じる派手な
舞台です。
びっくりしました。。。
こんなに本格的なものとは思わなかった。
衣装といい、大道具といい、すごい完成度です。
役者さんは初めて歌舞伎の舞台をする方ばかりだった
そうで、高校生くらいの子もいました。
緊張のあまり途中で台詞に詰まってしまったところが
あったのですが、そこで客席から「がんばれ~!」と
おひねりが飛んだりして、地歌舞伎らしい良さが感じられました。
床に落ちている白いものは全部おひねりで、見栄を切ると
噴水のように客席からおひねりが飛んで、すごかったです。

客席は飲んだり食べたり、開演中も自由。フリーダム。








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