2014年02月23日

タマシイを込める


先日始まったと思ったソチオリンピックも、残るところ
あと2日となりました。
多くの人の心に残った場面に、フィギュアスケートの
浅田真央選手のフリープログラム演技があると思います。

前日のショートプログラムは私も頑張って起きて、
リアルタイムで見ていました。
翌日のフリープログラムは、途中で寝オチして、
ハッと起きたら、NHKのアナウンサーが泣きながら
浅田選手の演技が終わりました、と紹介している
ところでした。
得点が出た直後のようでした。

アナウンサー、しかもNHKの人が中継で泣くなんて、
一体何が起きたのか、よほどの事が起きたのかと
思って、その後のリプレイに注目しました。
ノーカットのリプレイを見て、私も他の方々と同じように
とても感動しました。
難しい技が決まったという評価だけでなく、演技から
ほとばしる、なんとも言えないエネルギーにうたれた
ような感じでした。
実際、一番心に響いてきたのは、ジャンプではなく、
後半のステップの部分でした。

この演技が何点なのか、順位は何位なのか、そんな
のは二の次で良いと思えるような感動でした。

最近は大きなスポーツの大会はすっかり商業化し、
順位至上主義で、オリンピックの代表選手にもなれば
「税金で参加しておいて、負けて笑うな」なんて、偉い人
から言われちゃったり、純粋なスポーツとしての感動が
年々薄らいでいるように感じていました。
税金の件については、日本の場合、子供の頃
からの育成費用はほとんどが選手個人負担の
ことが多いので、オリンピック代表になった途端に
国が「養ってやったんだ」的な顔をするのはおかしいと
思います。
世界のトップを目指して練習してきて、笑ってわざと
負ける選手なんていないわけだし。
そういうレベルになると、ホンのわずかなことで勝敗が
ついてしまうものですよね。

浅田選手のフリーは、そんなことも吹き飛ばしてしまう、
やっぱりスポーツは魂なんだと感じさせてくれる演技でした。

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ということで、私も魂のこもった弓を引かねばと
思い、最近何かと時間が無くてバタバタとしている
中、ダッシュで豊田市郷土資料館へ行ってきました。

3月9日まで、「一弓入魂・とよたの弓文化をさぐる」
という特別展が開催されています。
最初は弓とは無関係に偶然見に行ったというネット
友達の方から情報を頂いたのですが、豊田市はわり
あいこちらにも近く、しかも弓文化がこちらの地域と
似ているので、すぐに周囲の弓仲間の中でも話題に
なりました。

愛知県の豊田市を含む三河地方~岐阜県東濃
地方~長野県南信地方にかけては、江戸時代から
農民に弓が許されていたことにより、たくさんの人が
弓を引くようになり、現在でも弓道が日本一盛んな
地域です。
幕末には、「通し矢」という遠くの的を狙う方法で、
一昼夜で1万射以上の矢を射て、80%の的中を
あげたという超人的な弓名人も輩出しています。

さらに、この地域では全国的にも珍しい弓の習慣があります。
その一つが「お祭り弓・神事的」です。
神社の神事やその他お祝い事に伴って、弓会を開き、
弓を引くことを奉納したり弓で祝うという習慣です。
地元の地域にもまだそういう弓会が残っているので
私も年に何回か参加しています。
お祭り弓の一例→クリック!

資料館では、こういうお祭り弓の内容の説明、弓会の
1日を追ったDVD、江戸時代から現代までの金的
的中の奉納額、古代の弓具から現代の弓具、海外の
弓具まで、多数の資料を分かりやすく展示してありました。
弓引きさんはもちろん、弓道を知らない人でも楽しめる
内容になっていました。

古代の弓具は資料や画像では見たことありますが、
実物は初めて見たので、これで矢を飛ばしてたなんて、
古代の人の方が技術あったんじゃないかと感心しました。
江戸時代の人の稽古覚書などは、ガラスケースの中に
展示されていましたが、ページをめくって、当時の人が
どう悩んでどう工夫してたか、読んでみたかったです。
きっと、今の人と同じように悩んで稽古してたんでしょうね。

前述の弓名人は、一日百射では上達できない、千射
引いてこそ上達する、という言葉まで遺していて、数年で
名人になったそうです。
この人が行った一万射の通し矢は、藩の名誉をかけての
行事だったそうで、失敗すれば切腹、まさに魂を全て込めて
の行射だったと思います。
そのくらいまで気合を込めないと、本当に良いものは出て
こないんでしょうね・・・。

競技としてではなく、文化としての弓をここまで細かく
展示したものは他には無いのではないかと思います。
図録(上画像)も、解説が満載、オールカラーで160
ページもあって、1000円ポッキリと、嬉しいお買い得
でした。

この資料館では、来週末の3月1日2日の土日に、地元の
弓道協会の協力で、体験弓道をできるそうです。
屋外で、少し離れたところの大きな的に向かって、矢を射る
ことができます。
雨なら中止ですが、参加費無料・予約不要だそうなので、
ちょっと弓に触れてみたいなと思われる方は、是非行って
みてくださいね。




drecom_yururi_n at 00:22│Comments(4)TrackBack(0)

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この記事へのコメント

1. Posted by kay   2014年02月23日 17:28
一弓入魂、行かれたんですね!!
今月豊田市に引っ越してきて、ウロウロする度に前を通って気になってましたが、帰ると忘れてしまって…
来週は行ってみようって気になりました!!
ありがとうございます。
どのくらいの時間で回れそうですか?
2. Posted by ミュート   2014年02月24日 14:31
オリンピック、終わってしまいましたね。自分の中で時差の調整がうまくいかず、どれがLIVEでどれが録画なのか、混乱のまま終わってしまいました(笑)

浅田選手、すごいスケーティングでしたよね!途中から、涙がじわ~っとにじんでしまい、最後のポースはよく見えませんでした。
国の代表として、みんさん様々な想いを抱え、目一杯競技に打ち込む姿に、メダルだの入賞だの、結果ばかりを評価するのは少し違和感を感じてしまいますよね。
「楽しめました」と言えば、真剣みが足りないと注意され、元日本のトップの方が「必ず転ぶから」とか揶揄したり。。。場を盛り上げるジョークとしては最低だと思いました。

魂を込める。。。日本人らしいすばらしい言葉ですよね!
3. Posted by ゆるりん   2014年02月24日 20:04
kayさん
豊田市に越されたのですか!
それなら今後お祭り弓に参加する機会があるかもしれませんね~。
建物に大きな「一弓入魂」の看板があるビルは、資料館ではなくて、その建物の南側にあるのが資料館です。
資料館の敷地に萱葺きの家が展示してあるので分かると思います。
展示は、DVD(神事的の一日・通し矢についての2本)と、2つの展示室です。
DVDだけで見るのに45分くらいかかってしまいます。
展示物もたくさんあるので、DVDも展示室もじっくり見たら、2時間くらい必要かと思います。

4. Posted by ゆるりん   2014年02月24日 20:21
ミュートさん
オリンピック期間中、日本じゅうが寝不足になってしまいましたよね~(苦笑)
浅田選手のスケーティング、滑り終わる前から涙がにじんだという人が多かったので、やはり点数や順位ではなく、滑りそのものに感動させる力があったのだと思います。
最近は商業化で、本当のスポーツ精神の意味が変化してきてしまっているオリンピックですが、ああいう感動こそスポーツの良さですよね。

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