2017年11月20日

久々審査

2年ぶりに弓道の昇段審査を受審しました。

弓道の段位は
無段位→級位(一〜三級)→段位(初〜十段)となっています。
段位とは別に指導者資格の「称号」が錬士・教士・範士の
3段階があり、五段以上の段位の人が受審することができます。
私は今、五段なので、錬士審査を受けることになります。

錬士に求められる資格は次の2つ。
1、志操堅実にして弓道指導の実力を有し、且つ精錬の功績顕著なること
2、五段以上の段位を受有すること

指導者としての人間性も審査されるため、面接もあります。
1次試験で術科(射の実技)審査と学科審査、そこで選抜された人が
2次審査で面接審査と術科審査(1次よりも難しい形式)を受けます。

術科(実技)は、1次と2次で2本ずつ引きますが、これは中ることが当然。
中っても射の質が良くなければダメ、外れても中りに等しいような
良い射であれば評価されることもありますが、2本とも外れは問題外。
道場へ入った瞬間に、着付けの乱れ、立ち姿などで
不合格が決定することもあります。

今回は400名弱が受審しました。
だいたい、2次に残るのが全体の10%、最終的に
錬士合格するのは5%です。

11月の審査なら、秋の小春日和で引きやすい気候かな~
なんてのを期待していましたが、 当日は1月並の寒気。
ものすごい寒さと雨・・・。
多人数のため、9時開始。終了は20時過ぎます。
とりあえず、弁当2食、カイロや温かい飲み物、おやつ、
暖かい 敷物など、色々と完備していきました。遠足か(笑)

ここ1年以上、頑張って引けば引くほど射が荒れて、中りも
なければ射の乱れもひどく、悪循環で苦しみました。
明確な直しどころが目に見えず、引く形は問題ないのに
なぜ荒れるのだろうと誰からも言われました。

今回、学科の勉強をしていて、教本の矢を発射する
寸前での 努力の項に、「冷静」「克己」「忍耐」「不動心」の
連続と書かれ ていることが、ふと気にかかりました。
発射寸前には、弓を押すとか引くとかの技術がどうか
よりも、 気力を充実させ、自満の末に発する。

数え切れないくらい読んだ項ですが、私はその努力の
時に 「発奮」「射に思いをこめて」「全力を尽くす」など、
どちらかと いえば「動的」な心持ちでいるなぁと気づきました。
それに伴って、要らない力も入っている。
教本に書かれているのは、「静的」な心持ちになり
なさいということです。

あれだけ頑張ってるのにダメなのか、と思っていたけど、
もしかして最後に無駄に気持ちで頑張るからダメなのか??

そこで、当日の朝に、「今日は自分を沈静化して引く」と
決めました。
ただ緊張を押し殺して落ち着くのではなく、もっともっと
沈静させる試み。 技で離すのでなく、心で離す射を。

術科審査の順番が来て、入場。
久々でちょっと緊張して、タスキをかける動作で
いつものようにスムーズにできませんでした。
ちょっとまずったなと思いましたが、気を取り直して。

甲矢、打ち起こしから大三で、やはり気持ちの
アクセルがかかりそうになり ましたが、待て待て、
どこをどう引くかはもう良いんだ、 冷静、冷静、
体が覚えてるとおりに。。。
離れる瞬間に向け、アクセルを踏み込むのでなく、
ジリジリと心で自満を待つ。

矢は的のわずか右下に外れました。
最初のわずかな力みが影響して、少し引き足らず、
矢が飛びませんでした。
でも、弦音は良く、いつもよりは力みが少ない射が
出来たと感じました。

乙矢、最初から静かな気持ちで、自分の中には
練習してきた引き方が備わっているのだから、
あとは気持ちだと言い聞かせて引きました。
自分で自分に知らぬ顔をする心持ちで引き納め、
さらに心を沈静化。的も、離れることも頭から消し、
自満、自満、自満・・・・・・。
矢は、良い矢飛びと弦音で的に入りました。
自分では、静かに離れたな〜という感触。

退場して、応援に来て見ていてくださった先生から
「2本目のが1本目にも出てればなぁ〜。2本目
はいつもより良かったよ」と言っていただけました。
仲間の撮ってくれた動画を見たら、自分でもビックリ
するくらい、2本目のは良かったです。 (合格ライン
ということではなく、最悪のいつもの癖が出ていない
という意味で)

直し中の癖はまだ気配が見えるけど、技術的には
なにも工夫しなかったのに、気持ちのコントロールで
あんなに 違ってくるのかと驚きました。

もちろん、技術面ではこの日までに癖を治す努力を
したことが影響しているわけで、技術を磨かずに
気持ちだけでは引けないし、引く技術に囚われても
良い弓を引く事は出来ません。
教本には「心気の働き」「気力の充実」と何度も書かれ
ていて、頭には染み付いてる言葉だけど、実感した
のは初めてでした。

その後、学科審査。
問題は
①弓の抵抗力について述べなさい
②弓道修練の眼目について述べなさい
でした。
他の時間帯の学科審査問題も、錬士審査でよく出る
問題からで、予想外の難問はありませんでした。

結果は、1次不合格。
でも、自分には大きな収穫のあった審査でした。


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同じ県の方が2次に進み、真っ暗になった中で
面接と術科の2次審査が行われました。
2次審査の面接の受け方、持的の位取りの仕方、
しっかりと見せて頂きました。
いつか参考に出来るときが来るといいけど。。。

公平な判断をするために、審査員の先生方は
一日中、交代無しで判定をします。
この寒い中、そうやって見てくださるのも本当に
大変。
こちらも精一杯やらなければと思います。

400名弱のうち、1次合格で2次に進んだのは27名。
最終的に錬士に合格したのは14名でした。

私も含め、ほとんどの方が不合格だったにも
関わらず、審査後のあの充実感と開放感のある
空気はとても不思議です。
控え室中が、悔しいとか、惜しいなどの雰囲気
ではなく、不合格であっても、ある程度の達成感を
得たという空気になっているんですよね。
審査って、その一回の合格不合格ではなく、
受けた数だけ何か得るものがあるように感じます。




drecom_yururi_n at 22:00│Comments(0)弓道 

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